義母を詠む 0001 [俳句]
お空には真珠の水面母の窓
(2010 冬)
◇ 母=義母なのですが、四年程前から認知症の症状が現れ急激に 進行してしまいました。
現在は病院で入院中ですが自力では寝返りもうてません。
義妹が近くに住んでいるものの、義母は一人田舎で入院生活を
送っています。
先日、春のように温かな日の夕方、この時期の東京としては珍しく
季節外れの綿雲が空に広がっていました。
夕日はいつも通りきっぱりとしていて、その光が雲を照らし、ことに
雲の底面は所々光の層を映して何色もの色を発していました。
喩えてみれば真珠やオパールの輝きです。
ふと、「お義母さん、元気かな? こんな空見てるかな?」と思い作った
俳句が今週唯一の句です。
もう認知症で、もしその瞳に空を映したとしても何も分からなくなって
しまっているのですが、義母は私がこれまで出会った人間の中で一番
朗らかで無邪気な大人だったので、そんな人柄が少しでもこの句に表せたら
と思いました。そして認知症という病気を抱えている側面も表す事を
意図しました。
他者の人柄を自分の句の中に表そうと試みたのは初めてです。
それが影響して言葉の選択や暗喩もこれまでに比べると大分客観的に
なったように感じています。
この一句を機に、今後は自分から少し離れた題材や作法も試してみようと
思っています。
とても素敵な句だなぁ と思いやした。
「お空」という言葉に 幼子にかえっていかれたお母様の様子を
見やした。
by ぼんぼちぼちぼち (2010-02-02 23:14)
ぼんぼちぼちぼち様
ありがとうございます!
優しい言葉を頂きまして感謝です。
その言葉で、母の肩へふわりと暖かな上掛けを
掛けてあげられたような‥そんな思いがしました。
by ちな (2010-02-08 21:08)